私はかつて病院勤務時代には、老衰や、癌末期であるのに看取りを行うかかりつけ医がいないために救急搬送されてくる方をよく診ました。その多くは初診の方であり、死亡診断書をかけずに忸怩たる思いでありました。
外勤として不定期に行く病院では、病気は治ったけれどADL低下のために家でみることができないと、長期入院になっている方をしばしばみかけました。こうした方を診るほどに、我々日本人は、年を重ねてからどう過ごしたいか、どのように最期を迎えたいかをもっと普段から考えることが重要との思いに至りました。
これらの経験から、そういった段階になる前から患者さんに携わり、最期まで寄り添う在宅医療の道に進む決断を下しました。
いしが在宅ケアクリニックで勤務して良かった思う点が、大きく3つあります。まず、やりがいです。持てる医療知識の限りを尽くし、そして医療以外の生活全般も含めて患者さんに寄り添う。やりたいことがやれている充実感があり、医師になって本当に良かったとさえ思える日々です。2つ目は、十分な報酬を頂いていること。3つ目は、仕事のonとoffがはっきりしていることです。いしが在宅ケアクリニックでは基本的に17時に仕事が終わり、時間外や週末は当番医師が全て対応するので、非番の日は呼ばれることがありません。おかげで家族と過ごす時間も確保できるようになりました。
今この雑文を読んでくださっている先生と、私の経験を共有できる日が来ることを願っています。