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研修を終えた方のコメント

研修医の

当院で研修を終えられた医師たちの感想やコメントなどを掲載します。

私は来年からへき地勤務を予定しており、在宅医療の勉強をしたいと考えていしが在宅ケアクリニックでの研修を志望しました。
実際に研修が始まると、先生方が患者さんの懐に入って信頼関係を築き、それぞれの患者さんに合った診療を行っていることが実感できました。患者さんの家族構成や人生への理解度が深いことで、それぞれの患者さんに合ったケアを行うことができ、患者さん・ご家族の満足感につながっているのだと感じました。
知識面としても、がん疼痛緩和や在宅における糖尿病コントロール、看取り説明の工夫などについても学ぶことができ、病院での診療との違いがよくわかりました。

学生時代にも他の病院やクリニックで訪問診療や訪問看護に同行させていただく機会があり、患者さん・ご家族のご協力のおかげでとても楽しく研修をさせていただきましたが、同時に患者さんとの距離感の近さに悩むこともありました。当時の自分の反省点として、距離感が近いからこそ医療者としての視点が薄れてしまい、診察や医師としての病状評価への思考が疎かになってしまうことがありました。今回の研修ではその点を意識しながら実際に自分が診療することで、患者さん・ご家族との距離を適切に保ちながらも医療的ケアについて考えることを多少なりとも実践できたのではないかと思っています。
これらのケアは医師だけでは行えず、看護師やメディカルアシスタント・事務の方々の協力が必要不可欠であり、私の研修中もスタッフの皆様に支えられていることを日々実感しておりました。

院長の石賀先生をはじめ、スタッフの皆様にはご多忙中にも関わらずたくさんの温かいご指導をいただきました。1ヶ月間という短い間ではありましたが、ここで学んだ患者さんの背景・生活環境をみるという在宅診療の姿勢を胸に、これから内科医として研鑽を積みたいと思います。本当にありがとうございました。

2022年の12月より研修として1か月間在宅診療を学ばせていただきました、桑名市総合医療センター研修医の稲葉と申します。私は学生の際に津市の一志の方で週に1度~2度程度、在宅診療に同行させていただきましたが、今回のようにみっちりと在宅診療に関わることはありませんでした。

私は以前より在宅診療が好きでした。というのも、総合病院の救急では、疾患や症状のみをターゲットに絞って診ることが多く、患者さんの背景について考えることが少なかったように思えます。しかし、それに対して、在宅医療では患者さんの生活に立ち会うことができ、疾患背景や疾病との治療以外での付きあい方も垣間見えるところがあり、好きでした。今回、そういった以前の経験を基に研修先として、じっくり在宅医療ができる、いしが在宅ケアクリニックで研修を行わせていただくこととなりました。今回、まずクリニックに行って思ったことは、スタッフがとても仲が良く、元気であり、自分のような新参者にも優しく接してくれたことでした。また、患者さんとも明るく元気に活発に接しているのも印象的でした。ほかにも、在宅医療であるので、総合病院と違って検査装置や治療機器などは少ないかと考えていたのですが、モバイルPCや最新のカルテシステム、スマートフォンを用いた超音波装置など最新の機器を取り入れて、新しい医療の仕組みを構築しようとしている姿も印象的でした。ほかにもハイブリッドカー、電気自動車での訪問などで、脱炭素化などについても意欲的に取り組んでいるのも個人的にいいなと思いました。私は前職で太陽電池の開発研究を生業としていましたので、このような取り組みは非常に嬉しいです。

また、末期の癌患者さんへの在宅医療も印象的でした。これまで、私は研修医として普段病棟にいる癌患者さんとしか、話すことがありませんでした。基本的に総合病院では一元的に感染対策を行うため、病棟でご家族に直接対面することが難しい状況になっています。そのため、死の直前に濃密に話すことがあるのが、研修医であることが多いのです。現状では仕方がないことではありますが、しかし、やはり自分の中で合点のいかない気持ちがあります。哲学者ハイデガーは人間の存在は「言葉」にあると言われているように、やはり最後はご家族と語らうほうがいいだろうと感じています。在宅医療では、そのような癌患者さんとご家族の濃密な関係を築くことができており、自分の理想の過ごし方であるように思われました。好きな環境と好きな人に囲まれて最後を迎えるというのはとても人間的であるし、自然な形ではないだろうかと思います。

この研修で体感したこと、学んだことは医師として大切な糧になったと感じました。実際、技術的にもいしが先生の映像講義などで診察法や緩和ケアの方法、COPDの管理法なども学ぶことができ、すぐに自分の診察に使ったりしています。まだまだ技術的に力不足な私に診察に参加し、教えていただいた、石賀先生、医師・看護師の皆様、コメディカルの皆様、スタッフの皆様には大変感謝しています。ありがとうございました。

最初いしが在宅ケアクリニックに向かう時、十分前もって出発したのですが、到着した時には大きくそびえる、「クリニック」とは思えない豪華な建物を前に、どこかの別の企業の建物と思いこみ、何度も場所を確認してしまいました。無事ご担当者の方と出会えた時には、予定時刻ギリギリになってご不便をおかけしてしまったのですが、今ではその時を懐かしく思い出します。

クリニック内には、医師、看護師さんをはじめたくさんの職種の方々がいらっしゃいました。皆様が毎日コミュニケーションを活発にとられており、しっかり連携を取りながら業務にあたられていました。その雰囲気は、あわただしいという感じではなく、談笑しながら、とてもリラックスした雰囲気で、そのおかげで私もすぐに打ち解けて業務をさせていただくことができました。訪問の道中でも、先生方、看護師やアシスタントの方々、皆様気さくな方ばかりで、お話も興味深く、大変楽しく、あっという間に一日一日が過ぎていきました。診察におきましても、どの先生方も患者さんのご家族の気持ちに寄り添った診療を日々実践されており、患者様からの信頼はとても厚かったのがとても印象に残っております。病院であれば、ここまで患者様をはじめご家族の方に寄り添った診療ができていなかったと、そのような反省がしみじみと自然とこみ上げてくるような、そんな医療を実践されていました。

あっという間に過ぎ去った地域医療の研修期間でしたが、病院の中で医学のテキストでただ勉強するだけでは決して分からないことがたくさんあるということを改めて身をもって学ばせていただくことができました。現場では医師のみならず、様々な職種の方々が連携した「チーム医療」によって、それまで表情の暗かった患者さんがたった一度診察を受けるだけで笑顔を見せるようになったり、予後が長くは期待できないと告げられた末期の患者さんがその後何年も元気に生活していたりと、もはや医学の教科書に載っているevidenceの羅列や、安易に作られた種々のマニュアル本では決して学ぶことのできない貴重な経験をさせていただけたと思っております。とはいいましても、残念ながら亡くなられる方も少なくないわけですが、その際もとても安らかに最期の一瞬までご家族と時を過ごせている方ばかりでした。

最後に私事になりますが、カナダの大学に留学していたころ、「アメリカに世界でも優れた医療機関とされ、富豪たちがこぞって治療を受けに来るMayo Clinicというところがあるらしいよ」ということを聞き、見学に行かせていただく機会がありました。アメリカにはほかにも著明な先生が集まった病院はあるわけですが、その病院の特徴として掲げている理念が、"Patients come first"(患者第一)ということでした。私が愚考するところでは、おそらくこの病院は医療レベルもさることながら、患者の希望に寄り添った医療が世界トップレベルで実践できていることが評価されているのだと思っております。私はその時からこの言葉を忘れずに医療を実践してまいりたいと思っておりましたが、今回の研修では、皆様のおかげで、この断片に触れることができた気がしております。 この度の研修で様々なことを感じ、学ばせていただくことができ、皆様には大変感謝しております。大変お世話になりました。本当にありがとうございました。

9月末より、いしが在宅ケアクリニックにて在宅医療を研修させていただきました。
研修初日に都市圏にあるようなデザインが光るオフィスにまず驚きました。私自身が田舎での生活が長く、山の中から現れるお洒落な建物は大変印象的でした。そんな素敵なオフィスで経験した4週間は実り多く、特に「最期のケア」については在宅医療において特に重要だと強く感じました。

令和元年に行われた内閣府の調査によると約50%の人が自宅での死を希望している一方で、約70%ほどの人が病院で亡くなっており自宅でお看取りになるのは15%ほどという結果があります。「病気への治療」だけを考えるのであれば検査も治療も選択肢を選ぶことが多いかと思います。しかし、最期に近づきQOLを考えた場合には、そういった病院のメリット以上に自宅で安らかに幸せに最期を迎えるということが大事なのではないでしょうか。

医師になってから1年半、医療の舞台は外来や病棟である医療しか経験してきませんでした。患者やそのご家族の生活圏に立ち入らせていただき、そこで治療を行う経験は新鮮でありました。
訪問看護など、自分が詳しく知らないだけで社会には在宅ケアを支えるサービスも数多くあることを知りました。病院での医療は病院内で回ってることが多く、「完治するまで自宅に返す」という選択肢がなかなか思いつかない自分にとって打てる手が増えたと感じております。
在宅医療では様々な患者様がいらっしゃいました。日常生活は可能で多少の補助が必要な方から、寝たきりでお看取りが近い方までと幅広く患者個々人によって選択される治療が異なっておりました。病院内での治療時にも当然意識はしておりますが、在宅医療においてはより患者やそのご家族の考え方・価値観だけでなく、社会的状態などを深く考えることの必要性を感じました。ご家族の協力を得られるのか、実際の自宅の環境の状態など、話を聞くだけではわかりにくい状態も実際に訪れて気づくことも多くありました。

また、研修の中でお看取りが近い患者様も拝見させていただきました。家族の死が近くなった時に、自分であれば取り乱すだろうところをご家族は慌てることも諦めることもなく「受容」の姿勢だったことが印象的でした。在宅ケアにおける、ご家族と住み慣れた家で最期を迎えることへのランディングの重要さをひしひしと感じました。
研修中、何度も自分の未熟さゆえに迷惑をおかけすることもありましたが、暖かくご指導いただきましたいしが在宅ケアクリニックの皆様に感謝しきれません。この経験を活かして、この後に続く医師人生の糧としてよりよい医療への貢献をしたいと思います。この度は、大変ありがとうございました。

2022年8月、いしが在宅ケアクリニックでの1か月間の研修が終了しました。とても短く感じる研修でしたが、濃密で大変有意義な時間を過ごすことができました。

研修初日、想像を遥かに超える規模のオフィスに圧倒されながら在宅診療についての説明を受けました。現在の日本においては、8割程度の方が病院で亡くなっていますが、厚生労働省の平成29年度人生の最終段階における医療に関する意識調査では、7割程度の方が自宅で最期を迎えることを希望されています。さらに、自宅以外で医療・療養を受けること、または最期を迎えることを希望した理由の1位は介護してくれる家族等に負担がかかるから、2位は症状が急に悪くなったときの対応に自分も家族等も不安だからというものでした。

このように日本人の大部分が自宅で最期を迎えることを望んでいるにもかかわらず、日本では自宅で最期を迎えられる環境が多くの地域で整っていないということを知りました。
しかしながら、いしが在宅ケアクリニックが存在する四日市では、2007年には79.2%であった死亡者における病院死の割合が、2020年には58.4%まで低下しているという話をお聞きして、いしが在宅ケアクリニックのスケール、提供するサービスの質の高さに驚愕するとともに、地域医療における在宅医療という分野の重要性を強く認識しました。

その後、実際に在宅診療の場に参加させていただき、在宅診療で必要とされる技術やふるまい、考え方を学びました。在宅診療では患者は必ずしも治療のみを求めているわけではなく、薬剤の管理や事務処理が難しい方に生活面での手助けが必要な方や、穏やかな最期を迎えるために積極的な治療介入ではなく疼痛管理などのサポートがメインである方など様々なケースがあり、病院での研修ではなかなか出会わない症例を経験することができました。

また、通院が難しいものの大きなプロブレムは抱えていないという方の定期的な経過観察を行う場合も多いため、病院で治療を行う場合と比較して患者との距離も近く、患者からの信頼を得るためには適切な医療を提供するのみならず、コミュニケーション能力が非常に重要だと学びました。

いしが在宅ケアクリニックのスタッフの方々は患者を元気にするために、皆さんが訪問の際明るく振る舞うことを徹底しており、そのおかげか他施設で介護拒否や治療拒否をしてしまう気難しい患者さんにも受け入れられていました。
いしが在宅ケアクリニックのスタッフの方々から学んだプロフェッショナリズムを今後の診療でも活かしていきたいと思います。

今回の1か月間の研修を通して、在宅医療という分野の重要性とやりがいを知ることができました。
これから先、またいしが在宅ケアクリニックにお世話になることがあるかもしれませんが、その際は何卒よろしくお願いいたします。1か月間、大変ありがとうございました。

研修医2年目を迎えたばかりのこの春、地域医療研修として1カ月間このいしが在宅ケアクリニックで在宅診療を学ばせていただきました。同市内の三次救急を担う総合病院に勤務して1年になりますが、病院での医療と在宅での医療のギャップに驚かされ、様々な気づきを得た1か月になりました。 はじめに感じた病院での医療と在宅診療の違いは「患者さんのテリトリーに入ること」でした。

私の勤務する病院では、救急外来しかり病棟しかり、患者さんやそのご家族はみなどこか緊張した様子を見せていたように思います。一般的な生活を送る人間が病院を訪れる時は何か「異常事態」が起きているときであり、病院という場は否が応でも緊張を強いられる場所であるのは致し方がないことなのかもしれません。一方で我々医療者にとっては病院は「ホーム」であり、その点において医療者は診療開始の時点で患者さんよりも優位な立場に立つことになります。一方で、在宅診療の主戦場は患者さんの自宅であり、患者さんのテリトリーに医療者が侵入する形になると感じました。当初は他者のテリトリーに入り医療行為を行うことに、病院で働いている際には感じたことのない種類の緊張感を抱きましたが、訪問診療・往診で様々な家を回るうちに慣れていきました。多種多様な家庭がありましたが患者さんやそのご家族は自宅では皆くつろいだ様子を見せていました。患者さんのテリトリーに入り診療を行うことで、普段の患者さんの生活や服薬状況、治療に対する思いや死生観などがよりはっきり見えてくることがわかりました。患者さんの病気だけではなく背景に目を向けることはどのような場面においても重要ですが、患者さんとの距離が近い在宅診療ではそのような介入が行いやすいと感じました。

距離の近さは他職種連携の面でも感じられました。病棟において、回診は医師のみで行うことが多く、他の職種とともに患者さんを囲んで話をする機会はそう多くはありませんでした。ここでは医師・看護師・メディカルアシスタントがチームとなって訪問を行うことで、お互い何をしているのか、何を重要視して見ているかがより明確になると感じました。時にはケアマネジャーやソーシャルワーカー、管理栄養士の方も同席されることもあり、患者さんの治療・生活を一丸となって考える経験ができました。他職種の方が非常に細かいところまで目を配り、患者さんの生活をよりよくしようと考えている姿やその専門性を間近でみられたことは大きな経験になりました。

様々な気づきを得た一方で、内科診療における自分の力不足を痛感した1か月でもありました。緩和ケアや褥瘡処置、終末期患者におけるご家族への接し方など、院長先生をはじめ先生方の診療に同行させていただき見て学ぶ機会を得られたことは非常に勉強になりました。将来的なビジョンの一つに在宅診療の道が加わったことも大きな収穫でした。病院に戻ってからも、この1か月で得た在宅診療の視点を忘れることなく、内科医としての力を磨いていきたいと思います。

初期研修2年間の終わりが近づく2022年の1月、SARS-CoV-2変異株B1.1.529系統(オミクロン株)が大流行しはじめた頃に、いしが在宅ケアクリニックで1か月間の研修をさせていただきました。
ご多忙の中ご指導いただいた石賀丈士院長先生をはじめスタッフの皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。いしが在宅ケアクリニックならではの経験があり、たくさんのことを学ばせていただきました。

緊張気味に伺った研修初日、いきなり度肝を抜かれました。2020年に完成したというクリニックの新社屋はまるで都会のオフィス。隅から隅まで洗練されています。トイレの蓋が自動で開きました。呆然とする間もなく、お目にかかった院長は気さくなイケメン。看護師様やアシスタント様、事務の皆様も親切かつ大変エネルギッシュで活気に溢れています。
すごいところに来ちまった、そう思いました。

研修の1週目、院長の訪問診療に同行した際に、在宅医療とは文字通り患者様のお宅に出向いて医療を提供するだけのものではないことを学びました。
もう今日明日にもお看取りという状態の患者様が、自宅で家族に囲まれて幸せそうにしていらっしゃる姿が印象的でした。院長はご家族に、自然に死んでいく患者様は苦痛を感じていないことや、熱が出ても病的でないこと、呼吸の兆候などからお別れをいうタイミングを予想できうることなどを、丁寧に説明されていました。
死とは苦しく悲しいだけのものではないと患者様とご家族にご理解いただき、安らかな最期を迎えるお手伝いができるのは在宅医療の強みではないかと思います。

その後、単独での訪問診療をさせていただきました。不安ではありましたが、地域医療に直接的に関わる経験ができたことは、今後の医師としての人生に大きな糧となりました。
同行していただく看護師・アシスタントの皆様はプロフェッショナルであり、患者様とのコミュニケーションの取り方から処方の内容まで、しっかりとサポートしてくださいました。訪問先の患者様、ご家族様も親切でフレンドリーな方が多く、少しずつお宅に伺うのが楽しみになっていきました。

そのようにしてやっと慣れ始めたころに、残念ながら研修は終了となってしまいました。
石賀先生には、精神科に飽きたら在宅をやりなさいと言っていただいております。いつの日かまたお世話になることがあるかもしれませんが、その時はよろしくお願いいたします。 本当に1か月間ありがとうございました!

いしが在宅ケアクリニックで1か月間地域医療研修として在宅医療を学ばせていただきました。普段の院内での研修とは異なることが想像以上に多くとてもたくさんの発見がありました。
特に研修を通して痛感したのが病院で普段働いているときはいかに早く病気を治療するかを主に考えていたのですが、治療を終えて退院された患者様のその後の生活をしっかりとケアすることまでは深く考えていなかったことです。この1か月の研修を通して患者様の病気だけでなく、社会的問題、心理的問題もしっかりとケアしていくことの重要性を学びました。
また一緒に訪問診療をさせていただいたスタッフの方々と患者様の接し方をみていると自分のコミュニケーション能力などがまだまだ未熟であると感じたので今後しっかりとトレーニングをして患者様から頼られて、慕われる医師になりたいと思います。 研修開始前は在宅医療に関してあまりわかっていないこともあり往診で何をしたらいいのか、何を話せばいいかなど不安が大きかったですが指導医の先生方や、看護師さん、アシスタントさん、事務の方々、スタッフの方々などに事細かくフォローしていただけるため安心して研修を行うことができましたのでこの場をお借りしていしが在宅ケアクリニックの皆様に感謝を申し上げます。また訪問させていただいた際お世話になりました患者様およびそのご家族の方々にも感謝を申し上げます。
お忙しい中、1か月間貴重な経験をさせていただきまして誠にありがとうございました。

いしが在宅ケアクリニックでは地域医療研修として1か月間お世話になりました。私は元来人見知りで特に初対面の方に対してとても緊張してしまう性格なのですが、いしが在宅ケアクリニックのスタッフの方々は、皆さんとても優しくて気さくに声をかけてくださり、本当にありがたかったです。初日に初めて院長の石賀先生と一緒に往診に行かせていただいた際には、お宅に伺っても何を話したらいいか分からずドギマギしてばかりでしたが、一緒に往診に同行してくださる看護師さんやアシスタントの皆さん、いつも温かく迎えてくださる訪問先の患者様方のおかげで、月の終わりの頃には大分リラックスして診療にあたることができました。
1か月の研修の間に数回お看取りにも立ち会うことができました。現在の日本では、お看取り場所として最も多いのが病院で、およそ8割を占めています。多くの方が在宅での最期を希望されていますが、実際に在宅で最期を迎えられる方は約13%とごくわずかです。私もいしが在宅ケアクリニックでの研修が始まる直前に祖父を癌で亡くしました。祖父は緩和ケア病院で最期を迎えましたが、特に今はコロナ渦で病院も面会を制限している状況ということもあり、危篤の連絡を受けて駆け付けた時にはすでに息が止まっている状況でした。そのような体験をした後ということもあり、実際に在宅でのお看取りの場面に立ち会ったときには強い衝撃を受けました。在宅でのお看取りはご家族様の介護負担も大きく、なかなか簡単なことではないとは思いますが、私がお看取りに立ち会った方々は皆眠るように旅立たれ、ご家族様も良い時間が過ごせたと満足そうであったのがとても印象的でした。
また、いしが在宅ケアクリニックでは疾患だけではなく、患者様やその背景に向き合うことの大切さを学びました。救急診療や忙しい日々の診療では、疾患にばかり目が行きがちになってしまい、どの患者様もそれぞれ違った人生を歩んできたのだ、という当たり前のことをつい忘れがちになってしまいます。訪問診療で実際に患者様のお宅にお邪魔させていただくことは、その患者様が普段どのような環境で生活をされているのか、どのようなことを大切に思っているのかなどを肌で感じることができました。それにより、患者様やそのご家族様にできるだけ寄り添い、患者様一人ひとりに合った医療を提供することがいかに重要なのかを再確認させられました。
慣れない在宅医療の研修で大変なこともたくさんありましたが、とても有意義な研修ができたと感じています。ありがとうございました。

1か月間、いしが在宅ケアクリニックでの研修で在宅医療を学ばせていただきました。思い返せばあっという間の1か月でしたが、1日1日がとても密度が濃く、新しい発見の連続でした。
研修前は、在宅医療のことをあまりよく分かっていなかったため不安でいっぱいでしたが、クリニックの温かい雰囲気のおかげで緊張がほぐれて安心して研修を開始することができました。
研修が始まってからは、毎日いろいろな先生方の訪問診療や往診に同行させていただき、2週目の半ばからは看護師さんとアシスタントさんと共に1人の医師として診療もさせていただきました。その際に、セデーションや医療用麻薬の投与量など、普段の病院での研修ではあまり教わらないことをたくさん学ばせていただきましたが、それ以上に一番印象深かったのは、在宅医療は病院での診療とは全く違い、患者さんの生活が中心であり、治療はその一部であるということでした。そして患者さんの病態を見ること以上に患者さんやそのご家族の不安な気持ちに寄り添い、患者さんにとって何が一番大切かを考えることが必要であると気付かされました。

終末期の患者さんが求めているものは、できるだけ家族や友人と一緒の時間を多く過ごしたい、あるいはできるだけ痛みのないように過ごしたいなどのような、思い残すことなく悔いのないように最期を迎えられる環境です。その内容は患者さんによって様々なので、 きちんと各々の患者さんの話に耳を傾け、症状の程度に合わせた生活の工夫や投薬内容の変更などを検討することは極めて重要であると感じました。そして、その際に明るい雰囲気は必要であるとも思いました。実際、患者さんの中にはクリニックの先生方の明るくて暖かい人柄や雰囲気のおかげで元気になり、前向きに最期まで病気と付き合っていこうという気持ちになられた方も多くいらっしゃいました。

研修期間中は、看取りの現場にも立ち会いました。その際にはご家族はとても悲しんでいましたが、満足のいく最期をご本人が迎えられたと言って時折笑顔を見せていました。このような笑顔が見られたのは、クリニックの先生方が最後まで患者さんやそのご家族に明るく寄り添い、常に最善の道を一緒に考えていったことで、お互いの間に大きな絆が生まれたからだと思います。

今回の研修では、緩和治療についてたくさん学べたことはもちろんですが、それ以上に人として大切なことを学べたと思います。例えば、患者さんと会話する際には患者さんの目線に合わすようにしゃがむ、できるだけゆっくり耳元で話しかける、バイタルサインを測定したら結果を記載する前にまず患者さんに直接伝えるなどのような些細な気遣いが患者さんにとって大きな安心感をもたらすということに気付かされました。病院での研修とは違い、患者さんをひとつの症例として見るのではなく、ひとりの人としてじっくり向き合うことができた1か月でした。そして医学以外の知識もきちんと持ち、様々な角度から物事を見ることができるようになることは今後の人生において大切であると院長の石賀先生がおっしゃっているのを聞いて背筋が伸びました。 最後になりましたが、いしが在宅ケアクリニックの皆様、1か月間温かくご指導していただき誠にありがとうございました。今回の研修で学んだことを絶対に忘れずに、これから患者さんと向き合える医師になりたいと思います。